➲ 土と水ホールディングス ❐

探査・計測技術

電気や波等の特性から地中の状態を明らかにします

埋設物調査・空洞調査・計測システム開発・探査・検層・計測等の業務をオンリーワン技術を組み込んで業務の品質向上に努めています。

業務内容

高密度表面波探査:人工的に地盤を振動させ、地表に設置した複数の受振器で計測した波形データから表面波の位相速度を求め、この位相速度曲線から逆解析手法により地下のS波速度構造を推定する探査法で、2次元のS波速度構造が得られます。

微動アレイ探査:自然または人工的に発生した微動を地震計を用いて同時観測して得られたデータを解析することにより、アレイ直下のS波速度構造を一次元構造として推定する手法です。探査深度は、アレイの大きさにより深度数十m~数千mの深度のS波速度構造が得られます。

地中レーダ探査:電気特性の異なる境界から反射した電磁波をとらえることにより,地中を探査する手法です。空洞,埋設管,埋設物,地層境界,亀裂や破砕帯,構造物や廃棄物の上面などが電気的特性の異なる境界に相当します。特に金属や空洞によく反応することから、埋設物探査、埋設管探査や空洞(防空壕等)探査等に用います。

埋設物調査:地下埋設物の有無,数量,分布状況,埋設物が何であるか等を広域にわたり効率よく明らかにするために地中レーダ探査と試掘を行い、埋設物の詳細、埋設物量の推定、撤去方法の提案・積算、土壌汚染調査の要否、等の調査から施工提案まで一貫して行っています。

電気探査:地表に設置した電極から地盤に微弱な連流を流し、別の電極間に発生する電圧(電位差)を測定し、地盤中の電気の流れやすい箇所、流れにくい箇所を可視化します。
地盤や岩石の中では電流は主に間隙水の中を流れるため、水みちの調査や、断層や破砕帯の有無、地すべりなどの構造調査、地盤の強度・健全性の評価に有効な調査方法です。

実績

  • 地下埋設物調査
  • 地下構造物調査委託
  • 福山港施行検討土質調査
  • 河川管理施設点検業務
  • 関東平野における中半径3成分微動アレイ観測
  • 高田平野における3成分微動アレイ観測作業
  • 新潟南部地域における長時間3成分微動アレイ観測補助作業および解析作業

(特許取得済)「特許第7250873号:地盤の比抵抗モニタリング装置及び斜面崩壊警報システム(外部リンク:特許庁)
土砂災害のピンポイント警報に挑む!比抵抗モニタリング「レス・トール」

斜面はなぜ崩れる?

斜面崩壊イメージ

雨が降ると,その雨水は地中へと浸透します。すると基盤の上の土層内に「帯水層」が形成され,間隙水圧が上昇します。雨が降り続いて帯水層が厚くなると,やがて土層に働く下向きの力が境界に働く上向きの抵抗力を上回り,土層は崩壊します。
つまり,「斜面は地下水によって崩壊する」と言うことができます。

地下水の挙動を電気で監視!

斜面崩壊などの土砂災害の予測には傾斜センサや伸縮計などが使われていますが,これらは“地表”に生じる現象であり,変状が始まったことを検出するものです。
地盤の比抵抗(=電気の流れにくさ)は地盤に含まれる水分の割合(含水率)によって変化することから,電気探査と呼ばれる手法でこれをモニタリングすることにより,地下水位の変化を検出し,斜面崩壊のリスクが高くなっていることを知ることができます。

レス・トールってなに?

雷神イメージ (Mårten Eskil Winge:Thor’s Fight with the Giantsスウェーデン国立美術館より引用

”レス”は「Resistivity」,すなわち比抵抗を意味し,”トール”は北欧の神話に登場する雷神「Thor」からいただいた名前です。
トールは雷,天候,農耕などを司る北欧神話最強の神様で,ミョルニルと呼ばれる魔槌で敵を倒します。
レス・トールは,天候によってもたらされる災害から,電気探査という魔槌によって皆様を守る雷神になりたいという気持ちを込めたネーミングです。

ヒテイコウってなに?

オームの法則でおなじみの電気抵抗は,材質が同じでもモノの形や大きさが違えば値が変化します。それではモノの性質を説明するのに不便なので,長さ1m,断面積1m2のモノの電気抵抗である“比抵抗”という値を使います。
比抵抗は電気の流れやすさを示す電気伝導度の逆数なので,電気の流れ“にくさ”を示します。

システム構成

通常の電気探査システムは,地下の比抵抗分布を詳細に可視化することを目的として設計されているため,大きなバッテリーや,ときには発電機を使用し,測定や解析に長時間を要することから,モニタリングには向いていません。
「レス・トール」は,小型・省電力・高頻度測定・遠隔監視をコンセプトとして設計された比抵抗モニタリングのための装置です。

設置イメージ

 
①本体(バッテリー,モデム内蔵)
➁ソーラーパネル,③接続ボックス
④モデム用アンテナ,⑤ケーブル
⑥電流電極,⑦電位電極(10対)
⑧解析・監視用サーバ
(本体,接続ボックス,アンテナは,コンテナボックスに収納します)

電流電極⑥に電流を流し,10対の電位電極⑦で同時に電圧を測定します。(“逆”シュランベルジャー法)
測定データはただちにモデムからインターネット経由でサーバに転送され,“1次元インバージョン”によって,比抵抗の層構造が解析されます。
測定の間隔は最短5分で可変,解析も数秒でできるので,「リアルタイム」の比抵抗モニタリング監視が可能です。

観測事例

測定ごとに1次元インバージョン解析で得られた層構造を,横に繋げた図。赤色系は電気が流れにくい層,青色系は電気が流れやすい層をそれぞれ示しています。(令和4年度日本応用地質学会研究発表会で一部を発表しました。)

台風通過直後に測定を開始。当初は手作業で1日おき,その後1か月間はソーラーパネルの給電のみで1時間間隔の無人測定を実施しました。
測定開始直後,比抵抗が低い(電気が流れやすい)第3層が次第に深くなり,やがて検出できなくなりました。台風の大雨で上昇していた地下水位が徐々に低下する様子を捉えたものです。
幸い,その後は大雨が降ることはなく,比抵抗構造に大きな変化は現れませんでした。

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