傾斜センサ「感太郎F-Alert」
J-Alertのように、誰もが直感的に危険を察知し行動できるシステムを提供し、斜面モニタリングの新たなグローバル基準となります
斜面防災モニタリングの現状
土砂災害の発生は、「いつ」、「どこで」、「どの範囲で」の条件がある程度予測することができれば、防災・減災の実現が可能です。このうち、「どこで」と「どの範囲で」は、既に各自治体から提供されている土砂災害ハザードマップからある程度の予測は可能です。それに対し、「いつ」は各自治体からの土砂災害警戒情報に基づき、避難指示等を発令しているのが現状です。また近年では土砂災害警戒情報をさらに精度良く効率的に補完する手段として、地盤の挙動を直接的に捉えて土砂災害の「予兆」を検知できる計測機器を活用した遠隔自動によるモニタリング技術が普及してきています。すなわち、土砂災害の予測に関しては、目視では分からない土砂災害の初動、いわゆる予兆について、計測機器を活用してデータを取得し評価することが重要です。さらに、これらの適切で必要な情報については、IoT技術を駆使して、速やかに関係者に知らせることも、防災・減災を実現するためには必要不可欠です。
開発(リニューアル)コンセプト
弊社では2009年に業界のトップランナーとしていち早く斜面崩壊感知センサ「感太郎」を販売しました。その後現在に至るまで様々なメーカーやベンチャー企業が、感太郎と同種の機器が幾つか市場に参入してきました。そこで、弊社では、従来の感太郎の性能、コスト等を見直しリニューアルすることで他社との差別化を明確に図るため、今回感太郎をリニューアルした新製品「感太郎F-Alert」をリリースしました(図-1)。「F-Alert」とは、将来(Future)に向けて土砂災害に関する警報(Alert)を関係者へ瞬時に伝達したいという思いから命名しました。

「感太郎F-Alert」がもたらす10個のイノベーション
①コンパクトな機器構成
⇒ センサ部とロガー・通信部を統合し一体化しました(図-2)。
②高精度なセンサ
⇒ 分解能:0.001°、測定精度:±0.002°を実現しました(図-3)。
③雨量計と接続
⇒ 雨量計(※)や土壌水分計(※)を常設できるようにしました((※)オプション)。
④多様な通信キャリアと接続
⇒ docomo、au、Softbankの国内主要キャリアと通信接続できるようにしました。
⑤安価なセンサ
⇒ 一定数量以内の利用において、従来型感太郎(ロガー・通信部を含めたトータル価格)よりも低価格にて提供いたします。
⑥常時計測・監視
⇒ 常時10分間隔で計測し、その都度計測データを伝送します(図-4)。
⑦簡単な機器操作
⇒ ロガーでの複雑なボタン操作は省略し、コネクタを接続するのみで計測が開始できます。
➇短時間での設置
⇒ 打ち込み棒を用いて、筒状のセンサを地中深さ50cmに埋設設置します(図-5)。
⑨省電力化の実現
⇒ 電源はソーラーパネルとバッテリーのため、定期的な交換の必要はありません(※)((※)日当たりが良い現場条件の場合)。
⑩現地即時警報が可能
⇒ 回転灯やサイレン等(※)を接続することで現地即時警報の出力が可能です((※)オプション)。




感太郎F-Alertの仕様
※測定精度は、現地の気象条件・設置環境等により異なります。
| 区分 | 項目 | 仕様 |
|---|---|---|
| センサ部 | 筐体 | サイズ:φ20mm、長さ525mm 動作温度:-20℃~+50℃ |
| 傾斜計※ | 2軸(X・Y) 分解能:0.001° 検知角度:-30°~+30° | |
| ロガー・通信部 | 筐体 | サイズ:幅10.0cm×奥行8.5cm×高15.8cm(アンテナ・突出部除く) 動作温度:-20℃~+50℃(結露しないこと) |
| ロガー | 内部メモリ:最新データ4000個記録 外部SDカード:2~32GB対応 接続可能機器:傾斜センサ(標準)、雨量計、土壌水分計 | |
| 電源 | ソーラーパネル:5W(標準)、12W バッテリー:12V×2.2A(標準)、6.8A | |
| 連結ケーブル | φ5mm 長さ2.5m |
感太郎F-Alertの設置例


地盤の傾斜角度を計測する「感太郎F-Alert」
斜面の変位(地盤変動)により、斜面の地盤は図-6のように傾動します。それに伴って斜面地盤に打ち込んだセンサが傾きます。この傾斜角θを標準10分間隔で計測します。これによって、斜面の変動状況とそのスピードを把握し、危険度を評価します。

独自の管理基準値とオープンな監視システム「観測王」
計測されたデータは、弊社の双方向遠隔自動監視システム「観測王」を通じて、即座に活用可能な情報へと変換されます。



国内外で積み上げた1,700基以上の圧倒的な実績
事業化から20年弱が経過し、国内1,100基、海外600基という累計1,700基超の実績が、感太郎の信頼性を裏付けています。

国内における主要モニタリング事例
【阿蘇大橋崩落斜面に関わる復旧工事中の安全監視】
崩落斜面における工事中の労働災害監視を約4年にわたり実施しました。
【熊本城の重要文化財(石垣)の監視】
石垣のはらみ出しなどの挙動監視を実施しました。
【台風期に発生した二次災害の斜面監視】
二次災害の監視を行い、「国道の通行止め規制」という行政の迅速な判断に直接寄与しました。

【土砂災害特別警戒区域内における斜面監視】
土砂災害特別警戒区域(いわゆるレッドゾーン)に位置する宅地盛土法面が崩壊しました。復旧工事が完了するまでの間、二次災害による人的被害を防止するため、「感太郎」を活用したモニタリングを実施し、傾斜角速度の管理基準値を避難指示の指標としました。


【道路防災点検「要対策」箇所における道路監視】
道路防災点検の結果、顕著な路面変状が認められたため、「要対策箇所」として抽出されました。対策工事の優先度や事業予算の制約により、工事着手までの間、道路面の変状を把握するため、「感太郎」を活用しモニタリングを行いました。


【不安定な岩塊の監視】
不安定な岩塊が分布する斜面下方において掘削工事が計画され、工事に伴う振動による岩塊の崩落が懸念されました。このため、作業員の安全を確保するために「感太郎」を活用しモニタリングを実施しながら、掘削工事を行いました。


【グラウンドアンカー付法枠およびプレキャスト受圧板の凍上被害の監視】
寒冷地では、法面を不安定させる要因の一つである凍上・凍結融解により、法面対策施設に深刻な被害が多発しています。そこで、法面対策施設の凍上被害を対象として、「感太郎」を活用し、被害発生メカニズムの解明やメンテナンス省力化方策の検討を行いました。


【住民参加型モニタリング】
産官学民の連携のもと防災ワークショップを開催し、住民が主体となって活動する「感太郎」を活用した住民参加型モニタリングを実施しました。これにより、地域防災力の向上を図るとともに、地域防災訓練などのイベントにも積極的に参画し、住民の防災意識向上に努めています。




国外における主要モニタリング事例
【JICAプロジェクト等によるグローバル展開】
ブラジルのファベーラにおける斜面監視や、ブータン王国での国道斜面監視など、JICAの国際協力プロジェクトを通じて過酷な環境下での防災を支援しました。近年では、インドやタイ等のアジア諸国での斜面監視を行っています。また、オーストラリアの大学との共同研究も進行しています。

【インド共和国における地すべりの監視】
インド西部に位置する、住居が密集した丘陵地の地すべり危険地域において、現地民間会社と連携して感太郎F-Alertを設置し、地すべりの挙動を監視しました。
また、現地住民を対象に、土砂災害に対する認識や理解度、緊急時の連絡体制の構築状況などについてヒアリングを実施しました。その結果を踏まえ、州政府に対して日本の避難行動計画を紹介するとともに、提言を行いました。




【タイ王国における急傾斜地の監視】
タイ南部に位置する土石流源頭部の急傾斜地において、県および現地民間会社と連携し、感太郎F-Alertを設置して斜面の挙動を監視しました。
設置後には県を訪問して状況を報告し、その内容は後日、県のSNS(Facebook)に掲載されました。



【タイ王国における二次災害の監視】
タイ南部の道路に面する急傾斜地において崩壊が発生しました。崩壊地の上方には民家が立地し、下方には市が管轄する道路が通っていることから、二次災害の発生が懸念されました。そこで、市および現地民間会社と連携し、感太郎F-Alertを設置して二次災害の監視を行いました。
設置時には市長による現場視察が行われ、その内容は後日、市のSNS(Instagram)に掲載されました。



特殊なモニタリング事例
【土木構造物(道路擁壁)の監視】
道路面に発生した亀裂等の変状の発生要因を解明するため、短尺化した特注センサを用いて、道路擁壁の挙動を監視しました。




建設コンサルタントによるトータルサポート
「感太郎F-Alert」の真の価値は、機器の性能だけではありません。私たちは、斜面防災の専門知識を持つ「斜面防災技術者」が集う専門家集団です。単なる機器販売に留まらず、斜面防災の専門家が観測計画の策定から設置、データの高度な評価までをワンストップでサポートする「トータルソリューション」を提供します。


