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地質リスクマネジメント

地質リスクの“総合診察医”としての使命を持って業務に向き合う

業務内容

道路計画における地質リスクマネジメント

地質や地盤が不確実であることによって、個人や公衆が不利益を被ることは非常に多い。特に建設事業においては、かつてのような公共事業費が潤沢な時代は期待できない状況になっている。このため、所定の品質を確保しつついかに効率的かつ少コストの事業を行うかが大きな課題となってきている。
橋・道路や建築物などの構造物、これらの安全性を十分に確保しながら効率的に建設するためには、構造物を支える地質・地盤の課題を解決する必要がある。つまり、地質・地盤の特徴を理解し、的確な計画・調査・設計・施工・維持管理を実施することが必要である。
本事例は、高規格道路が計画されている道路で地質リスク検討を行ったものである。対象道路は、概略道路設計を行っているが調査路線のため、地質リスク評価の結果を踏まえて、建設や維持管理を含めたトータルコストを考慮した路線の検討が可能な段階にある.

出典:「地質リスク調査検討業務」の手引き
(令和3年7月(一社)全国地質調査業協会連合会)

地質リスク抽出手法

地質リスク評価は、机上での文献資料調査と地形判読を実施し、現地踏査後に地質リスクの抽出を行う。

  1. 文献資料調査:文献資料調査は、対象構造物の被災履歴調査,周辺の県誌や町史などの文献からの災害履歴,施工時記録の整理,地形・地質や地すべり地形,活断層についての既往文献資料の収集,土砂災害に関わるハザードマップの収集を行う。
  2. 地形判読:地形判読は,地形図やLP図と撮影年度が異なる2種類の空中写真を実体視して地形判読を行う.地形判読での抽出要素は,リニアメントや地すべり地形,崩壊地,沖積低地のように直接地質リスクとなる可能性があるもののみでなく,谷筋や尾根,遷急線や遷緩線など幅広い地形要素を読みとる。
  3. 現地踏査:現地踏査は、広域踏査と対象構造物周辺の地表踏査を行う。
    広域踏査は、地すべり地形や既往の地質図に記載されている地質境界や断層や各地層の性状を確認するために実施する。対象構造物周辺の地表踏査は、計画構造物に着目した範囲で踏査を実施する。
  4. 地質リスク要因と発生事象の抽出:文献調査や地形判読、現地踏査の結果から当該地における地質リスク要因を抽出する。抽出した地質リスク要因は落石や土石流、支持層や切土斜面不安定化に関わる要因のように、当該地以外でも建設時に懸念される一般的な事象に関わる地質リスク要因に加えて、土壌汚染のように当該地に特有な事象についても抽出する。

地質リスク調査検討業務の進め方

①リスクランクの設定

地質リスクとして想定される地質に関する事業遅延要因となる事象について、その発生確率と発生規模のマトリックスから、
   1).いつ、どの規模で、地質リスクが発現するのか
   2).そのリスク対応に要する時間と費用は、どの程度と見積もられるのか
   3).したがって、このリスク対応は、事業の進捗の中で、いつ対応することが最善であるのか
について、技術者判断も含めて評価し、今後の対応を提案することが地質リスク業務です。

出典:地質リスク調査検討業務発注ガイド
(平成28年10月(一社)全国地質調査業協会連合会)

出典:地質リスク低減のための調査・設計マニュアル(案)改訂版
(令和3年3月国土交通省近畿地方整備局)

 
②リスクコミュニケーション(三者・四者協議の実施)

事業者・調査者・設計者の三者,更には、施工者の四者が同じテーブルで発現するであろう地質リスクについて話し合います。ここでは、事業の進捗の各段階で、それぞれの立場から忌憚のない意見を出し合い、事業における最善の策を見つけ出すことが重要としています。

実績

  • 令和2年度 関東支社管内 地質・地盤リスクマネジメント検討業務
  • 令和2年度 会津若松管内 地質リスク検討業務
  • 令和3年度事業再評価資料整理業務
  • すさみ串本道路西地区他地質リスク検討業務(H29.3)
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