中央開発(株)では、2016年4月16日未明に発生したM7.3の熊本地震および前震、余震にともなって生じた災害について、現地調査を実施しました。被害を受けた方々にはお見舞い申し上げます。
現場状況(外輪山西麓被害状況)
上記写真の状況については以下の通りである。
1:大峰の西方山麓において、概ねN70E走向に連続する地割れを確認した。地割れ沿いの立木は傾倒している。
2:風当地区の道路に見られた亀裂及び陥没の状況。道路沿いの家屋も倒壊している。
3:大切畑大橋と道路との接続部に見られた1m程度の横ずれ
4:馬頭山西駐車場で見られた地表地震断層。60cm程度右横ずれ。
5:県道28号と旧道との交差点付近に見られた6条の道路亀裂
(地震断層)
地震断層は、既存の文献によって知られていた布田川・日奈久断層帯にほぼ沿って出現した。一方、益城町では堂園付近から益城町役場方向に分岐する新たな断層も認められた。今回確認した断層延長は、益城町堂園の北方から御船町牛ヶ瀬に至る約13kmであるが、堂園から北東側延長である西原村の県道28号沿いにも断層と関係していると考えられる亀裂や崩壊が多数認められた。
地震断層のずれの方向は基本的に右横ずれであるが、これに斜交する断層も多数認められ、それらは左横ずれ断層となっている。ずれ量は最大で2m程度である。
(液状化)
熊本地震での液状化被害を把握するため、震源に近い益城町地内を流下する秋津川および木山川付近、熊本平野を流下する白川、緑川(浜戸川を含む)、並びに臨海部の埋立地や人工島(熊本新港)を中心に現地調査を実施した。
調査の結果、旧河道部(一部自然堤防を含む)や埋立地盤において、液状化による噴砂や側方流動、地盤沈下が確認された。特に、熊本市南区の市街地や熊本新港では道路や鉄道、建物、上下水道等に甚大な被害をもたらしている。なお、これらの液状化災害は4/16(土)の本震によるところが多い。
(構造物)
震源付近(益城町)の家屋等の倒壊損傷並びに南阿蘇村の阿蘇大橋の被災状況
被災地の中心となる益城町市街地では県道熊本高森線沿いに家屋の倒壊が著しい。古い木造家屋や簡易モルタル2階建屋、並びにブロック擁壁の倒壊損傷が大きい。(写真-1)建築物等は、概ね西向きに倒れており、地震断層の右横ずれの動きと関係があると考えられる(写真-2)。地震断層が確認された市街地西方の下陳地区では右横ずれの断層変位による家屋の損壊が認められる(写真-3)。南阿蘇村の山体崩壊の現場では、その末端に位置あった国道325号阿蘇大橋(アーチ橋)が、落橋している(写真4)。
(斜面崩壊等)
南阿蘇村立野では、国道57号西側の山肌が崩壊して、土石流となって国道57号を閉塞している(写真-1)。そこから分岐する国道325号の阿蘇大橋が落橋している(写真-2)。南阿蘇村では斜面崩壊や落石が多発している。落石では県道熊本高森線の斜面で写真-3のような巨大なものをいくつか確認している。また、写真-4は南阿蘇村長野の国道325号閉塞箇所であるが、通常は崩壊発生の可能性の低い緩斜面で崩壊が発生していることが特徴である。
(こちらで使用している地図は国土地理院 地理院地図を引用の上、加工したものを利用しています.)