1997年に開通し、今や1日に4万6000台の車両が通行する通称「東京湾アクアライン」。その一部を構成する「東京湾アクアトンネル」の全長は、海底道路トンネルとしては世界一を誇る(9,607m)。そんな「東京湾アクアライン」の建設にも中央開発の大水深海上ボーリング技術が活きている。技術者たちに「土木のアポロ計画」と言わしめた同プロジェクトに中央開発はどう関わったのか。当時、現場責任者を務めた大保(現『土と水ホールディングス』役員)と当時、一技術者として奔走した田中(現『中央開発』社長)に話を聞いた。
特殊な現場はトラブルも特殊だ。同プロジェクトで使用された鋼製櫓は、国際航路内の設置のため「航路標識」扱いとされ、3基の櫓灯によって「国際モールスで発信する」ことが義務とされた。そんななか、櫓への落雷により同期のずれが発生。当時一技術者だった田中社長は荒天のなか出航し、同期調整にあたったという。