◆農地における土砂侵食対策 (大澤・入嵩西) |
石垣島の農地における土壌浸食・栄養塩流出の抑制対策試験に関して、数種類の農地対策における侵食量削減率を定量的に評価し、負荷の発生構築の対策を含めた形で統合的に整理しました。その結果、サトウキビ栽培に伴う対策としては、葉柄によるマルチングや株出し栽培等が有効であることがわかりました(表一 1)。
のみの栽培に比べ、粗利益で約147 ,000円の増収が見込まれることがわかりました。 |
◆河川における土砂・栄養塩動態(赤松・藤咲) |
石垣島名蔵川流域における土砂・栄養塩動態の観測および数値シミュレーションに関しては、流域内の数地点における水・土砂・栄養塩の多点同時観測や流域内の3地点における水・土砂・栄養塩の長期連続観測を実施し、出水時における土砂・栄養塩動態の特性を明確にしました。それとともに、新たに構築した流域GISや侵食・土砂輸送モデルを用いた数値シミュレーションを行い、勾配修正等の土木的対策や農地における営農的対策を組み合わせた合理的な流域土砂管理技術を確立しました。さらに、沿岸域における物質動態シミュレーションを実施することによって、沿岸域における土砂・栄養塩の動態解析が可能となり、陸域における土砂の発生に始まり、沿岸域での拡散までを抑える解析モデルを整備することができました。 |
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◆沿岸域における土砂・栄養塩動態とサンゴ着生実験(岡本) |
石垣島名蔵湾、石西礁湖における水質・底質の定期定点調査や降雨時における海域の水質調査を実施することによって、人間活動による負荷の沿岸域への影響を評価することができました。 その結果とサンゴ着床・生育実験の結果より、名蔵湾等の人間活動の影響を受けやすい海域では、サンゴの生育には、赤土に含まれる微細粒子(有機物と結合した凝集体)と高い栄養塩環境によって、海底が藻場化してしまうことが問題であることが判明しました。 また、名蔵川流域での河川・干潟・沿岸域での流れと物質動態に関する数値シミュレーションの結果、降雨時の赤土堆積ではなく、無降雨時の富栄養化がサンゴ礁の生息環境の悪化を引き起こしていることを明らかにしました。 さらに、水質調査結果から、名蔵湾におけるサンゴの再生を検討する際には、降雨時における影響範囲の特定に加えて、大雨時における海底からの土砂・栄養塩の巻き上げによる影響を勘案することが必要であると考えられます。また、栄養塩濃度は平均値ではなく、降雨時の突発的な濃度上昇を考慮し、累積的な負荷の蓄積の観点を導入することが重要であることがわかりました。 |
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