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調査・地盤解析

◆大水深海上ボーリング調査

 傾動自在型試錐工法 愛称『傾動自在』

【平成5年運輸省告示第366号 港湾に係る民間技術評価
第94302 『大水深域でのボーリング工法』】

1.はじめに

 海底地盤や各種海中構造物の設計条件を決めるための調査のなかで欠かせないのが、海上ボーリングである。
  海上ボーリングは陸上の場合と異なり、悪条件での安全性、精度の確保や経費の点で多くの課題がある。
  そのため各種工法が開発・実施されているが、それぞれに一長一短があり、
  調査目的及び海域条件にあった工法を選定することが極めて重要である。
   弊社は、昭和21年創業以来、地質調査を得意分野として発展し、海上ボーリングについても多くの経験をもち、
  従来からのパイプ櫓、鋼製櫓、スパット等の工法に加え、特に大水深かつ厳しい風波にも安全性、経済性、
  技術的に耐えうる工法として『傾動自在型試錐工法』を昭和40年に開発して以来、これらの改良に日夜努力し、
  各工法ともボーリング精度、作業性を一段と飛躍させ、皆様のご要望にお応えいたしております。

運輸大臣からの評価証 現場イメージ
概要

2.海域における一般仮設工法

 海上足場は、調査現場の水深・潮流・波浪・海底地形及び底質などの自然条件と調査目的
  (調査対象土質、必要孔径、深度など)に応じたボーリング機材、作業方法などを勘案し、
  使用すべき足場を選定しなければならない。
  その際、参考となるボーリング用足場形式と適応性を下図表に整理する。

水深別適用工法
水深別適用工法


足場形式と適応性
足場形式 仮設方法 適用 主たる
適用水深
パイプ足場 トラックで陸上運搬。
現地組立、資材はテーラ又は台船にて運搬搭載。

静かな内湾で岸から比較的近い所に適す。
  調査時期によっては外海でも可能である。
  護岸より近ければ桟橋方式、遠ければ単独足場。

0〜3m
スパット台船 主にトラックで陸上運搬。 現地組立、資材搭載後曳船にて移動。

海底地盤が傾斜・起伏のある場合でも使用可。
  鋼製櫓と比較した場合、安全性は劣るが移動が簡単なので
  湾内での使用頻度は高い。
  現場近隣に組立のための港必要。

3〜20m
鋼製櫓 主にクレーン台船による海上輸送。
資材はクレーン台船により搭載。

比較的条件を選ばず使用できるが、
  海底が傾斜したり起伏が多い箇所では使用困難。
  潮流が速いかうねりの大きい海域では
  アンカーなどによって安定を図る。
  外海の調査では使用頻度が最も高い。

4〜30m
傾動自在 トラックで陸上運搬。
クレーン台船に艤装、曳船により移動。

ガイドパイプ長を調整するだけで広い範囲の調査ができる。
  海底面が傾斜あるいは起伏のある場合でも使用可。
  海象荒天時は30分程度で海域にガイドパイプのみを残した
  状態で避難できるため作業の安全性を確保できる。

3〜60m

※弊社の実績を基に各工法を比較

3.大水深域でのボーリング工法『傾動自在型試錐工法』

 傾動自在型試錐工法は、弊社が昭和40年に開発し、平成5年に運輸省告示第366号にて
  『大水深域におけるボーリング工法』として評価 (第94302)された独自の工法である。
  ガイドパイプと台船上のボーリングユニットが完全分離しているため、
  ガイドパイプの長さ調整にて水深に適用でき、実績最大水深は60m程度である。
   また、海象荒天時はガイドパイプのみを海域に残し約30分程度で避難が可能であることが特徴である。
  地盤調査としてオールコアリング、乱れの少ない土、岩試料の採取、
  ボーリング孔内を利用した原位置試験についても陸上調査同様に精度を維持できる。


傾動自在型試錐工法作業フロー及び作業中止基準例

クレーン台船 見取り図 台船全景とガイドパイプ

クレーン台船 見取り図

  
試錐工法全体図(側面)
  
試錐工法全体図(平面)
クレーン台船及びガイドパイプ設置要領例

4.実績

 平成4年度以降の主な実績を下表に整理する。
  削孔対象と削孔能力により調査深度の制約はあるが、調査内容については陸域部調査と変わらない。
  下図は活断層調査にて採取したコアの一例である。


※コア径大の材片が認められ、層理面が10〜15°程度傾斜⇒淡水域

 

実施年度 発注者 場所
(都道府県)
主たる業務内容 該当水深
(m)
H4 官庁(国) 神奈川県 ボーリング 126m/6箇所
乱れの少ない試料採取、室内土質試験
25〜27
H5 民間(国) 愛知県 ボーリング 180m/3箇所
孔内原位置試験、乱れの少ない試料採取
室内土質試験
4〜28
H5 官庁(国) 山口県 ボーリング 651m/32箇所
孔内原位置試験、乱れの少ない試料採取
室内土質試験
20〜28
H7 民間(電力関連) 和歌山県 ボーリング 177m/22箇所
孔内原位置試験、乱れの少ない試料採取
室内土質試験
25〜35
H13 官庁(国) 東京都 オールコアボーリング 37m/1箇所
地質分析
26
H14 官庁(国) 東京都 オールコアボーリング 37m/1箇所
地質分析
23
H15 官庁(国) 静岡県 ボーリング 90m/3箇所
孔内原位置試験、乱れの少ない試料採取
室内土質試験
40〜43
H16 官庁(県) 秋田県 オールコアボーリング 35m/2箇所
地質分析、室内土質試験
30〜35
H18 民間(電力) 宮城県 オールコアボーリング 78m/1箇所
地質分析
31
H18 官庁(財団) 兵庫県 ボーリング 79m/2箇所
孔内原位置試験、乱れの少ない試料採取
室内土質試験
30〜32

5.連絡窓口

  技術・積算:東京支社 工務部 (03-3204-0897) 野口、米沢、高橋

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