調査・地盤解析

砂礫層・破砕帯から緩みのないコアが採取できるIFCS工法 G-008

 新しいサンプリング技術 愛称『(懸濁)気泡水コアサンプリング工法』

 愛称『(懸濁)気泡水コアサンプリング工法』(IFCS:Improved Fresh-Water Core Sampling)を開発しました。
 この工法により、砂礫層・破砕帯・地すべり層でも緩みのないコアを、
 地下数百メートルまで日進3〜12m、口径φ66〜116mmで、連続採取可能になりました。(特第 4025485号)              

■原理:
  潤滑性のある掘削水に微粒気泡を混ぜて送ることで、掘削ロッドやビットの摩擦を軽減すると共に、
 微粒気泡の自動スライム排除機能により、これまでの清水や泥水による送水よりも低圧・低量で、送水可能になりました。
 その結果、ビットの切れ、スライム排除効率が飛躍的に向上し、 送水圧が間隙水圧とバランスすることで、
 孔壁やコア内への清水浸透・微粒分流失が防げるため、良質なコアが効率よく採取可能になりました。(図−1参照)

■装置:
  装置は基本的に、これまでのボーリングマシン、ポンプのような掘削ツールに、界面活性剤混入タンク、送気ポンプ、
 発泡装置を付加するだけで利用出来るため、これまでの気泡型に比べて、経費の大幅な節減が可能(当社比)になりました。

■長所:
 1.微量添加界面活性剤の効果で、礫や粘土を含むコア表面の滑らかな掘削が可能になり、
 コア観察等の設計・評価情報が精度よく迅速入手可能になりました。
 掘進長の開発目標は、通常工法(清水・泥水掘)と同等の 地下1000m程度です。(緩みのない高品質コアが特徴)

 2.清水掘に比べ使用水量が減るとともに、機材の分割小型化により、山岳地の水仮設が容易です。

 3.操作性は、従来型気泡工と異なり、通常工法(清水掘)と差が無く、地下水量や水質にも左右されません。
 従って掘進速度は、従来型気泡工に比較し大幅に向上し、清水堀りとほぼ同等です。

 4.界面活性剤は中性なもので、また、使用掘削水量の低減は環境負荷低減に寄与します。


装置一覧_写真  スライム排出状況_写真

 

 業務実施例および採取コア

写真3a IFCS工法のダム調査への適用例
 厳冬期の北海道、70°の急斜面

写真 3b IFCS工法のダム調査への適用例
 沢に向けた斜掘 40°

写真4 ダム調査
 φ66mmダイヤモンドビット(GL-90.00m付近)、
 白亜系花崗岩、上段:IFCS工法のコア。
 (赤丸は微粒物質採集状況を示す)
 下段:清水掘工法のコア

写真5 地すべり調査
 φ66mmメタルクラウン。白亜系珪質泥岩、
 上段:IFCS工法のコア(構造・微粒分良好)、
 下段:清水掘工法のコア

写真6  IFCSのダム調査適用 (上下共)
 φ86mmダイヤモンドビット、
 上段:更新統段丘堆積物(GL-8m付近)、
 下段:新第三系中新統玄武岩(GL-8m付近)

写真7 橋脚地盤調査
 新第三系風化安山岩、φ86mmダイヤモンドビット、
 上段:IFCS工法 (GL-4m付近)、
 下段:化学系泥水掘 (GL-7m付近)

写真8 ダム調査
 φ116mダイヤモンドビット、上段:IFCS工法のコア。
 下段:従来型気泡掘工法のコア

写真9 IFCSのダム破砕帯調査適用 (上下共)
 φ116mダイヤモンドビット、上段:断層破砕部、
 下段:下端の固結・半固結粘土層

発表論文:
  荒木、大鹿、岡野:表層〜深地下にわたり高品質コアを採取する「IFCS工法」の開発、
  懸濁気泡水コアサンプリング工法、電力土木303、pp156−158(2003)

◆砂層・シルト層から緩みのない自然状態のコアをALCS工法で採取 G-009

『脱酸素コアサンプリング工法』(愛称ALCS: Airless Core Sampling System)

 『脱酸素コアサンプリング工法』 (愛称ALCS: Airless Core Sampling System)は、地化学的試験を目的に、
  還元的な状態にある地下水面以下の対象層を、脱酸素水を使用して空気に触れさせずにコアを採取する工法です。
  (特第4041288号)
   更新統未固結砂層・シルト層から、掘削水として懸濁窒素気泡を混合した脱酸素水を調製し (酸素濃度0.3ppm)、
  口径φ66mm、掘進速度2〜6m/hr*1で、緩みのないコアを自然状態で採取できました。
  さらに、得られるコアは脱酸素水中で取出しと切分けを行い、
  密封・凍結状態で保存することを可能にする一連の技術を開発しました。(操作終了時濃度0.9ppm)
  原子力・環境調査用コア採取に有用です。 *1雑作業時間50%を含む。

■ 掘削原理:

掘削水は、現地地下水を減酸素槽 (DAWS) で加温脱気により減酸素状態にし、懸濁気泡水生成装置 (IFCS工法、図−1参照、特第 4025485号)で窒素洗浄し脱酸素水として使用します。コアは、脱酸素水中で切分け、密封・凍結します。
 その特徴は、微粒窒素気泡の自動スライム排除機能により、低圧・低量送水が可能になるので、普通工法に比較してスライム排除効率が飛躍的に向上します。
 このため、送水圧が間隙水圧とバランスすることで、孔壁・コア内への掘削水 (脱酸素水)の浸透・微粒分流失や孔底ボイリングが防げるので、効率的高品質コア採取・孔壁形成が可能になります。

■装置:
  掘削装置は基本的に、これまでのボーリングマシン、ポンプのような掘削ツールに、送気ポンプ、 減酸素槽 (DAWS)、窒素ボンベ、懸濁気泡水発生装置、減酸素中のコア切分け設備を付加するという 原理的には簡易なものです。これまでの気泡型工法では出来なかった脱酸素水による掘削を可能 にするばかりか、経費の大幅な節減 (当社比)になります。


 ■長所と問題点:
  1. 脱酸素水と懸濁窒素気泡の効果で、未固結砂・シルト層から、コア観察や地化学試験用のコアが採取され、
    高品質評価情報の迅速入手が可能になりました。
  2. 操作性は、通常工法 (清水掘)と差が無く、地下水量や水質に左右されません。
  3. 界面活性剤は原則として不要です。使用掘削水量の低減は環境負荷低減に繋がります。
  4. 全工程を通じての掘進速度は、普通工法とほぼ同等です。
  5. 同一ボーリング孔において、目的や地層の状況(例えば経済性を考慮する等)に応じて、
    普通工法(清水・泥水、ビット)との迅速互換が可能です。
  6. 掘進長の開発目標は、通常工法(清水・泥水掘)と同等の地下1000m程度です。
    付加価値は、緩みがなく、地化学的にも乱されていない高品質コアの採取が可能なことです)
  7. 自立性の乏しい未固結砂層等では、ケーシング併用のような応用動作が必要です。

 

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