福岡県西方沖地震速報
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 平成17年3月20日午前10時53分、福岡県の北西約20km(北緯33-54',東経130-12')の玄界灘を震源とする強い地震が発生した。中央開発株式会社九州支社では、翌21日調査団を結成し、災害現場の踏査を行い、その結果を第一報としてこちらのHPに掲載した。本第2報は、震源に比較的近く、震度6弱を観測した前原市が位置する『糸島半島』の漁港を中心に被害調査を行った結果と、福岡市臨海部で発生した液状化に伴う噴砂を用いた室内土質試験結果、液状化検討結果についてまとめたものである。  

糸島半島被害調査報告はこちらから
臨海部における噴砂の物理特性
 平成17年3月20日午前10時53分に福岡県西方沖で発生したマグニチュード7.0の地震により,博多港臨海部の埋立地においては液状化現象が確認されている。
<愛宕浜中央公園での噴砂状況> <沖浜町における噴砂状況>
本報告は同3月21日に現地踏査し,液状化が確認された地点において,噴砂試料を採取し,物理試験を行った結果についてまとめたものである。
試験結果は以下に示す
物理試験結果
液状化計算結果
物理試験結果
 噴砂が確認された各地点の試料を採取し,実施した物理試験の結果を纏めると,表−1に示すとおりである。この表に示すように,土粒子の密度ρsについては,2.63〜2.69g/cm3の範囲にはいり,土粒子の一般的値を呈していることが明らかである。また自然含水比wnは7.1〜39.0%で,ややばらつきのある結果となっている。なお,自然含水比と細粒分含有率の関係について見ると,細粒分の多い試料ほど,自然含水比が多いという一般的な傾向は伺うことができない。
 粒度組成について見ると,砂分が75%以上と卓越し,均等係数・曲率係数が示すように,均等粒径の砂質土であることが明らかである。図−2は各試料の粒径加積曲線を一覧として示したものであるが,この図からも,今回液状化が発生し,噴砂した試料は均等粒径であることが明らかである。なお同図には,運輸省港湾局監修「港湾の施設の技術上の基準・同解説」,平成元年6月,日本港湾協会発行で示される「特に液状化の可能性有り」 の粒度範囲を示したが,今回液状化が確認された地点の全ての試料が,この粒度範囲に入る結果となっているのが特徴的である。
図-1:噴砂試料採取地点_(H17.3.26土木学会・地盤工学会地震被害合同調査団試料参照)
      粒度特性  
試料採取地点 土粒子の密度(g/cm3) 自然含水比Ws% シルト 粘土 均等係数 曲率係数 D50mm 分類記号
マリノアシティ駐車場 2.656 16.8 14.5 80.3 5.2 5.2 3.14 1.16 0.575 S-FG
マリノアシティ東港湾 2.689 17.2/td> 0.3 89.6 6.0 4.1 4.66 1.59 0.285 S-F
愛宕浜小学校 2.662 15.9 5.8 77.1 12.1 5.0 9.95 1.85 0.245 SF-G
愛宕浜中央公園 2.649 7.1 1.0 95.6 3.4 3.4 2.13 0.96 0.405 SP
RKB脇 2.632 14.2 3.8 89.5 6.7 6.7 3.95 1.15 0.391 S-F
RKB東側:福岡タワー前 2.656 28.9 0.2 86.4 10.9 2.5 4.58 1.37 0.207 S-F
シーサイド百道北東側 2.652 14.6 6.9 86.5 6.6 6.6 3.77 1.38 0.625 S-FG
荒津町 2.689 5.5 1.2 75.8 17.9 5.1 13.19 3.30 0.159 SF
沖浜町 2.633 39.0 0.7 85.7 11.0 2.6 8.28 2.18 0.301 S-F
東浜埠頭 2.649 26.9 0.9 98.9 0.2 0.2 2.65 0.78 0.320 SP
箱崎埠頭 2.632 18.8 19.0 76.3 4.7 4.7 5.36 1.25 0.846 SPG
表-1:噴砂試料の室内土質試験結果
図-2:各噴砂試料の粒径加積曲線
液状化計算結果

 液状化発生地点近傍で実施したボーリング結果を用いて,液状化の簡易判定を行った。計算は,日本建築学会「建築基礎構造設計指針」に準じ,マグニチュード7.0,地表面最大加速度は200galで計算を行った。
計算対象地区は,内陸部の小戸・西新・荒津・呉服町である。計算結果の概要を一覧として表−2にまとめて示した。この表に示すように,締まりの緩い在来地盤砂質土も,局所的ではあるが地震時液状化発生の可能性がある結果が得られた。さらに液状化の程度を表すPL値については,砂質土の厚く堆積する荒津や呉服町ではPL値が5.0以上で,液状化の危険度が高いという結果が得られた。

地点 地層構成 N値 動的せん断強度比R 動的最大せん断応力比L 液状化安全率FL PL
小戸
GL±0.0〜-14.7m砂質土
GL-14.7m〜粘性土
2〜18
>3
0.137〜0.360
-
0.129〜0.175
-
0.804〜
2.092
4.07
西新
GL±0.0〜-9.6m砂質土
〜GL-11.65m礫質土
GL-11.65m〜岩盤
2〜16
12〜34
>50
0.139〜1.149
0.139〜0.175
-
0.121〜0.178
0.178〜0.179
-
0.780〜
7.379
2.48
荒津
GL±0.0〜-7.9m
GL-10.3〜-15.7m砂質土
GL-7.9〜10.3m粘性土
GL-15.7m〜岩盤
2〜13
3〜27
1〜3
>40
0.111〜0.215
0.141〜0.332
0.145
-
0.118〜0.178
0.174〜0.183
0.184
-
0.678〜
1.904
8.66
呉服町
GL±0.0〜-8.1m
GL-10.8〜20.0m砂質土
GL-8.1〜10.8m粘性土
0〜12

8〜25

2〜3
0.138〜0.266
0.106〜0.227
0.072〜0.164
0.126〜0.150
0.157〜0.165
0.155〜0.163
0.441〜
1.773
6.97
表-2:液状化簡易判定結果一覧
 
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