芸予地震調査-速報-

1.はじめに
 2001年3月24日午後3時28分、瀬戸内海西部の芸予諸島付近を震源とする大きな地震が生じ、中国・四国地方を中心に西日本の広い範囲で揺れを感じた。気象庁の発表によると、この地震にともない、広島県大崎町、河内町、熊野町等で震度6弱、愛媛県松山市、今治市、広島県広島市、呉市、山口県岩国市などで震度5を記録した。この地震により、中国・四国7県で死者2人、負傷者175人、建物の被害5,000棟以上等の被害が生じた。中央開発(株)ではこの地震にともなう被害状況を調査するために、直ちに調査団を結成し、調査を行った。

2.調査結果
 地震による被害は主に、瀬戸内海に面する広島県、愛媛県、山口県において認められた。地震にともなう被害は広島市周辺の海岸部では液状化、呉市、今治市等では建物被害が顕著であった。一方、斜面の崩壊、盛土部における地割れ、橋脚部の継ぎ目における段差、道路の亀裂等はほとんど認められず、先ほど生じた鳥取県西部地震と比べると、芸予地震の被害は建物の立地条件による部分が大きく、地震の揺れそのものによる直接的な被害の程度は小さかった。液状化、建物被害の特徴は以下の通りである。

●液状化
1)広島市の太田川デルタ地帯の末端部である西区(観音)・南区(出島)、佐伯区・廿日市市・大野町の埋立地において液状化が認められる。
2)廿日市市木材港の西側道路沿い、西区観音の三菱グランド、廿日市市阿品の埋立地における被害が顕著である。
3)液状化による建物被害はほとんど認められない。
4)埋めたて工事中の場所において液状化が多く認められる傾向がある。
5)戦後の埋立地における液状化が顕著で、その内でも、浚渫土による埋め土部において液状化が認められる。
6)液状化した物質はほとんどの地点において粗粒砂であり、シルトは認められなかった。

●建物被害
1)呉市における被害が最も顕著である。
2)呉市で被害が顕著である理由の一つは、市街地のほとんどが急な斜面部に位置しているためである。市内において被害が顕著な場所は、中心部よりも周辺の急傾斜地であり、傾斜地において家を造成する際に盛った盛土部を支えている石垣が軒並み崩れている。 また、この石垣が、傾斜前面部の家に倒れ込み、その影響で前面部の家が壊れている例も多く認められる。
3)今治市では3階建てのマンション1階部の駐車場を支えている支柱が倒壊したが、周辺における同構造のマンションにはそのような被害は全く認められない。
4)北条市周辺では、海岸部の砂丘部における昔ながらの家屋の被害はほとんど認められなかったが、砂丘の後背地に位置する新興住宅地における被害が大きい。
5)建物被害の内、最も被害が顕著な現象は屋根瓦部「棟」の崩壊である。特に土、漆喰等で固めたりっぱな粘土瓦の方がシンプルな瓦より被害が大きい傾向がある。 

以下では広島市、呉市、今治市における被害状況の写真を示す。各市のをクリックすると表示します。

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